Profile

プロフィール
古瀬 正也
Furuse Masaya
ワークショップデザイナー。ファシリテーター。1988年生まれ。埼玉県戸田市出身。長野県上田市在住(2021年6月から)。駒澤大学グローバルメディアスタディーズ学部卒業。立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科修了。学部生の頃、対話の手法「ワールド・カフェ」に出合い、対話に関心を持つ。実践と研究を繰り返す中で、対話の場づくりの依頼が増えてきたことをきっかけに2012年に独立。人が集い、出逢い、関わり合う場の設計(ワークショップデザイン)と当日の進行役(ファシリテーター)を行う。これまでに中央省庁や行政、学校、企業、NPOなど様々な分野で、年間60本ほどのペースで500回以上のワークショップや研修を実施。2020年から「対話に生きる」を軸に活動中。

My Story

私の物語
0歳

1988年、この世に生を受ける。

3歳

人見知りの泣き虫。よく母の足にしがみついていたそう。

6歳

小学1年でサッカーをはじめてから、だんだんと活発になる。

9歳

気づけば、率先して班長や学級委員をやるように。話し合いの司会をしたり、まとめたり...この頃からファシリテーターの芽があったのかもしれない。

10歳

熱心に「自主学習ノート」に取り組んだ。自由に学ぶことを決めて、漢字の練習をしたり、植物の絵を描いたり、時には物語を書たり。今でも「自ら学ぶ」ことが好きで、常に何らかの探求テーマがある。

文化祭に異様な熱を発揮。手動型のダンスダンスレボリューションをつくったり、景品のポケモンバッチづくりに物凄くこだわった。今でも何かを「つくる」ことが好き。

14歳

地域のクラブチームでサッカーを続ける。ポジションはセンターバックかサイドバック。後ろから全体を見渡し守りつつ、時折、サイドからオーバーラップして攻めていく感覚は、今のファシリテーションのスタイルと少し似ている。

17歳

文化祭熱が再熱。音声で楽しむお化け屋敷や、教室内にジェットコースターをつくった。前例のないことに挑戦したがるところがある。

18歳

はじめての海外一人旅へ。タイ、カンボジア、ベトナムを周る。未知の世界に飛び込む楽しさを知る。

19歳

大学の授業で社会問題を学び、居ても立っても居られなくなる。大学を飛び出して課外活動に明け暮れる。環境問題、戦争・紛争、エネルギー問題など、あらゆる分野に首を突っ込む。

20歳

...が、問題が一向に解決されていないことに気づく。そこから「あらゆる社会問題の根底には何があるのだろうか?」という問いが生まれる。

21歳

友人に誘われたワークショップで「ワールド・カフェ(※1)」を体験し、「これだ!」と電撃が走る。異なる価値観が混ざり合っていくような体験から、「多様な価値観を持った人たちが対話できずにいるから、あらゆる問題が生じるのでは?」という考えに至る。そこから「対話」への探求がはじまる。

22歳

より多くの人たちに「対話」を体験してもらうため、47都道府県でワールド・カフェを開催しながら日本中をママチャリで周るプロジェクト「日本一周ママチャリキャラバン」を企画。約1200名が参加。参加直後の感想文を分析し、卒業論文『ワールド・カフェで起こる対話の構造ー47都道府県での実践からの考察ー』を執筆。

対話の場づくりを実践しながら、もっと社会のことを勉強したいと、恩師の金山智子先生に相談したら、立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科を紹介され、進学することに。

24歳

社会学者の萩原なつ子先生と哲学者の内山節先生に師事。大学院在学中に、対話の場づくりの依頼が増え、萩原先生に背中を押されて「古瀬ワークショップデザイン事務所」を設立。修士論文『ワールド・カフェ・デザインの可能性ー対話による社会構築に向けてー』を執筆。「社会デザイン学」修士(Master of Business Administration in Social Design Studies)を取得。

屋久島で行われた、中野民夫先生の授業「ライフサイクル論」も強く印象に残っている。内なる自然とつながる大切さを全身で感じた。

25歳

対話の学校の吉田創さん、クレセントワークスの小山田奈央さんから、体験学習のいろはを教わる。「ファシリテーターたる者、一度はTグループに参加した方がいいよ」と言われたことをきっかけに、主催が異なる3つの「Tグループ(※2)」に立て続けに参加。

後に、南山大学のTグループの「トレーナー・トレーニング」も修了。特に、南山大学の中村和彦先生、坂中正義先生、楠本和彦先生、津村俊充先生らの佇まいや関わり方から、大きな影響を受ける。いまここの体験から学ぶこと、自分を生かし、他者を生かし、ともに生きていく、その在り方や態度を学ぶ。

26歳

はじめて実家を出て、彼女と同棲をはじめる。ウキウキ気分の中、引っ越してすぐに父が難病(クロイツフェルト・ヤコブ病)を発症。予定を早めて結婚することに。ぎりぎり話せるうちに結婚の報告ができたのはせめてもの救い。だんだん動けなくなり、だんだん話せなくなり、約半年で死別...。大好きな父だっただけにショックが大きく、その後、8kgも痩せて、原因不明の体調不良が続いた...。

27歳

グリーフサポートをしている一般社団法人リヴオン主催の『「ままに」きく力を育むミニ・カウンセリング講座』に参加し、橋本久仁彦さんの「ミニカウンセリング(※3)」を体験。人の話はよく聴ける方だと勘違いしていたことに気づく。半年間通い続け、聴くということの世界観が一変する。

同じ年の秋口、大学院時代の先輩の谷口起代さんが主宰する『てらたん講座 暮らしの中で「聴く」ときに使う技、立脚する世界観の探究(※4)』に通いはじめる。その中で心理療法の一つの「ファミリー・コンステレーション(※5)」を体験し、衝撃を受ける。我々の根底に蠢く〈目に見えない力動〉を感じ、身体に耳を傾けることの大切さを知る。

28歳

仕事を一旦休止して、妻と70日間、ヨーロッパ11カ国を旅して周る。異なる言語や文化、美しい芸術に触れ、より一層世界が好きになる。妻との衝突もあったが、対話を通して深い絆が生まれる。

29歳

東京から神奈川の鎌倉に移住。土地柄の影響から西田幾多郎の哲学を学びはじめる。この年、プロジェクトアドベンチャージャパンの「AP講習(※6)」、丹羽順子さんの「ブレスワーク(※7)」、齊藤由香さんの「つながりを取り戻すワーク(The Work that Reconnects)(※8)」を体験し、より世界観が広がる。

仕事ではクライアントワークに従事しすぎて、自ら開催する場がなくなっていたことに気づく。誰にも頼まれなくとも、自らが必要だと思う場を開いていこうと決め、「自由に生きうるための探求ゼミ」「技法以前のファシリテーション」「ミニカウンセリング探求会」などを開催。

30歳

少し仕事の流れが変わってくる。これまで単発のワークショップが多かったが、連続のワークショップや中長期にわたるプロジェクトが増える。(特に教育関係の仕事が増える)ワークショップデザインとファシリテーター以外にも、ある現象を概念化するような仕事もはじまった。

哲学者の苫野一徳さんのオンラインゼミに参加しはじめ、哲学から学びつつ、実践に活かすことを繰り返している。(今現在、現象学とフッサールを深めている)

31歳

2020年。ホームページのリニューアルをきっかけに、自分自身と向き合い続け、突如「対話に生きる」という詩が生まれる。改めて「対話」を軸に活動していこうと決心する。「対話の文化をつくる」ことを目指している。

4月以降、新型コロナウイルスの影響で一時期仕事がゼロになることもあったが、現在では、オンラインでのワークショップや研修の開発と実践にも取り組んでいる。

※1:ワールド・カフェとは、カフェのようなリラックスした空間で、小グループで席替えを繰り返しながら、あるテーマについてお互いの知識や知恵を共有し、模造紙などに可視化しながら探求し合う手法。1995年にアメリカでアニータ・ブラウンとデイビッド・アイザックスによって開発・提唱された。

※2:Tグループとは、「トレーニング・グループ」の略。自己理解や他者理解、リーダーシップといった人間関係に関する気づきを得るための学習方法。ドイツ出身の心理学者クルト・レヴィンらが1946年にアメリカで、教育関係者やソーシャルワーカーなどを集めて、人種差別撤廃に向けたワークショップを行ったことが起源。古瀬は時系列順に、「対話の学校」主催、「ヒューマンインターラクション・ラボラトリー(HIL)研究会」主催、「南山大学人間関係研究センター」主催のTグループに参加。

※3:ミニカウンセリングとは、「カウンセリングの祖」といわれるアメリカの臨床心理学者カール・ロジャーズの「パーソン・センタード・(人間尊重の)アプローチ」を研究していた東京農業大学の岸田博らが開発したカウンセラー訓練方法。橋本久仁彦さんは「ミニカウンセリング」を独自に発展させ、未だ二つに分かれぬものを観る「未二観(ミニカン)」として行っている。

※4:「てらたん」とは、「寺で胆力をつける」の略。「てらたん講座」は、心の専門家が持つ知識や技法を暮らしの中でほどよく活かす方法を学び、ともに探求し、聴く力を人々の手に取り戻すために開催された全6回の講座。

※5:ファミリー・コンステレーションとは、ドイツの心理療法家バート・ヘリンガーにより確立された家族療法の一種。人間の意識(感情や思考、身体感覚、生理的欲求など)に無意識的に影響を及ぼす隠れた力動を顕在化させる手法、と主張されている。近年では、バート自らによって心理療法の枠組みを越えた「新しいファミリー・コンステレーション」が展開されている。谷口起代さんはバートの著書『いのちの営み、ありのままに認めて』の翻訳者でもある。

※6:AP(アドベンチャープログラミング)講習とは、株式会社プロジェクトアドベンチャージャパンが主催する、プロジェクトアドベンチャーの体験学習の力を活用した実践家(ファシリテーター)やそれを志す人に向けた4泊5日の講習会。

※7:ブレスワークとは、普段より速いペースで意識的な深い呼吸を続けることで、心や体のさまざまなをブロックを解き放つセルフ・セラピー。チェコ出身の精神科医スタニスラフ・グロフが開発した呼吸法「ホロトロピック・ブレスワーク」が起源。「1回のブレスワークは、10年分のカウンセリングに匹敵する」と言われる。2018年に鎌倉で開催された禅とマインドフルネスの国際カンファレンス「Zen2.0」の分科会にて、丹羽順子さんのブレスワークを初体験。その後、2019年にブレスワーク・ジャパンが設立され、その設立記念セッションにて、2度目の体験をする。身体系のワークショップの中で最も刺激的な体験となった。

※8:つながりを取り戻すワーク(The Work that Reconnects)とは、米国の仏教哲学者で社会活動家のジョアンナ・メイシーによって開発・提唱されている、人とのつながりや、より大きな生命の織物とのつながりを取り戻すためのワーク。齊藤由香さんは、ジョアンナ・メイシーに師事しているアクティビストであり、ワークショップ・ファシリテーター。